施工体制台帳 ➀【概要】
2023年03月01日元請業者は、法律で定められた一定の工事では「施工体制台帳」等の作成が義務付けられています。
今回からは、この施工体制台帳について見ていきたいと思います。
概要 |
作成しなければならない書類 |
対象となる工事において、元請業者が作成しなければならない書類は以下の2つです。
・施工体制台帳
・施工体系図
これらの概要について以下で順に見ていきます。
※記事内では、施工体制台帳と施工体系図をあわせて「施工体制台帳等」と呼称します。
施工体制台帳とは |
施工体制台帳とは、工事を請け負う全ての業者名、各業者の施行範囲、工期、主任技術者・監理技術者名を記載した台帳です。作成対象工事の場合、元請業者が作成する必要があります。
施工体制台帳の作成を通じて、元請業者に現場の施工体制を把握させることで、次のようなことを防止することが目的とされています。
➀品質・工程・安全などの施工上のトラブルの発生
➁不良不適格業者の参入や建設業法違反(一括下請負等)
③安易な重層下請(生産効率低下等)
▼施工体制台帳の取扱い▼
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※国土交通省近畿地方整備局「建設業法に基づく適正な施工体制と配置技術者」を基に作成
施工体系図とは |
施工体系図とは、その現場の施工についての分担関係を示した系統図のようなものです。
工事関係者が施工体制を把握しやすくすること、各業者の責任・役割分担を明確にすることを目的としています。
元請業者は、施工体制台帳の作成対象工事において、合わせて施工体系図も作成しなければなりません。
▼施工体系図の取扱い▼
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※国土交通省近畿地方整備局「建設業法に基づく適正な施工体制と配置技術者」を基に作成
施工体制台帳等の作成対象となる工事 |
民間工事では、発注者から直接建設工事を請け負った元請業者は、その工事を施工するためにした下請契約の総額が4500万円(建築一式の場合7000万円)以上となる場合、施工体制台帳の作成が義務付けられています。
建設業法上、上記金額の下請契約ができる元請業者は特定建設業許可を受けている必要があるため、民間工事で作成義務があるのは必然的に特定建設業者のみとなります。
一方、公共工事の場合は、入札契約適正化法の規定により、下請契約の金額に関わらず施工体制台帳の作成が必要です。
▼施工体制台帳の作成対象工事
➀公共工事の場合は、発注者から直接請け負った建設工事を施工するために下請契約を締結した時 ➁民間工事の場合は、発注者から直接請け負った建設工事を施工するために締結した下請契約の総額が4500万円(建築一式工事の場合7000万円)以上となった時 |
作成対象工事の流れ |
作成対象工事では、以下のような流れで施工体制台帳等が作成等が行われます。
※国土交通省近畿地方整備局「建設業法に基づく適正な施工体制と配置技術者」を基に作成
作成を担うのは元請業者ですが、下請業者もその作成に協力する必要があります。
まとめ |
今回は施工体制台帳の概要について見てきました。
下請代金が4500万円以上になるような大きな現場では多くの下請さんが入ることになるため、元請の立場から現場全体を把握するのが難しくなります。
この点、施工体制台帳等を活用すれば簡単に現場全体を把握することができるようになります。
適正な施工を行うためにも、施工体制台帳等を活用しましょう。
次回から詳細な記載内容等について見ていきます。
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