「一式」の許可であらゆる工事ができるわけではありません!
2023年07月24日建設業の29業種の中でも、「土木工事業(土木一式工事)」と「建築工事業(建築一式工事)」の2つしかない「一式」の許可。
この「一式」の許可は、その名称ゆえに非常に誤解されがちな業種になります。
今回は、この「一式」の許可とはどのようなものなのか解説していきます。
そもそも業種とは? |
まずは、建設業許可における業種とはどういうものなのかについて、簡単に解説します。
建設業許可においては、建設工事を29種類に分類し、それぞれの業種ごとに許可を与えることになっています。
この工事の種類は、2つの「一式工事」と27の「専門工事」に大別されます。
一式工事とは「土木一式工事」「建築一式工事」の2種類で、どちらも総合的な企画・指導・調整を必要とする土木/建築工事のことを言います。
もっとかみ砕いていうと、「土木一式工事」では、橋やトンネルなどの土木構造物を丸ごと作るような工事やそれらの大規模な改修工事、「建築一式工事」では住宅やビルの新築工事や建物の一部にとどまらない増築・改築が該当します。
一方で専門工事とは、その名の通り専門的な工事のことをいいます。内装仕上工事、電気工事、舗装工事など、構造物や建築物の一部を作るような工事が該当します。逆説的ですが、一式工事でない工事が専門工事であるともいえます。
イメージとしては、建築物・構造物の各部分(住宅で例えると、電気配線、配管、内装、建具、ガラス、塗装、柱、梁、基礎など)を担当するのが専門工事で、元請の立場で各専門工事の工程や品質を調整しつつ1つの建築物・構造物にするのが一式工事という感じです。
(もちろん、専門工事のみで完結する工事もあります)
上記の性質からも分かる通り、「一式工事」はある程度規模が大きく各部分を担当する下請業者が複数入るような工事が想定されているため、工事全体を統括する立場の元請業者のための許可であるとされています。(全部・一部を自社施工しても構いません)
「一式」の許可があってもできない工事があるのはなぜ? |
この「一式工事」の許可について、「建築一式の許可持ってたら、内装とか屋根とかの500万円超える工事もできるようになるんでしょ?」と仰るのをよく耳にします。
しかし、これは誤りです。
前述したように、「一式」の許可はあくまでも「一式工事」を請け負うための許可です。
一式の許可のみの業者は、500万円以上となる単独の専門工事を請け負うことはできません。
例えば、「建築一式」の許可のみを持っている業者は、500万円以上となる屋根工事を請け負うことはできません。
このような工事を請け負おうと思うと、「建築一式」とは別に「屋根工事」の許可を取得する必要があります。
ややこしいですが、「一式工事」と「専門工事」は別の種類の許可であって、「一式」の許可の中に「専門」の許可が包含されている訳ではありません。
この点、本当に誤解が多いのでお気を付けください。
まとめ |
土木系/建築系の500万円を超える専門工事を請け負うためには、その工事に対応した業種の許可が必要となります。
「一式」の新規取得・業種追加をお考えの方は「自社で請け負っていきたい工事は一式工事に該当するのか」「一式の許可が必要だとして、他の専門工事の許可は必要ないのか」などをよく吟味していただく必要があります。
なお、弊所では新規申請・業種追加申請をご希望の相談者様に、業種についてのアドバイスをさせていただいております。
スタッフが相談者様のご状況を丁寧にお伺いした上で、それぞれの方に合った業種をご提案いたします。
「ウチで取った方がいい業種は◯◯で合ってるの?」「他に取った方がいい業種はある?」とお思いの方は、ぜひ弊所にご相談ください!