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建設業許可の29種類の業種⑭ 水道施設工事業・消防施設工事業

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建設業許可の29種類の業種⑭ 水道施設工事業・消防施設工事業

2021年01月15日
建設業許可の29種類の業種⑭ 水道施設工事業・消防施設工事業

 

水道施設工事業

 

水道施設工事とは、上水道、工業用水道等のための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事または公共下水道もしくは流域下水道の処理設備を設置する工事のことをいいます。

この通り基本的に浄水場、下水処理場内での設備工事になりますので、非常に事例が限定されますし、工事件数、専門としている業者さんの数もかなり少ないです。

名前に水道が入っているので、家やビルの上下水道の配管工事なども含まれると思われがちですが、そうではないので注意が必要です。

 

工事の例示

 

取水施設工事、浄水施設工事、配水施設工事、下水処理設備工事等

 

他の工事との境界線

 

国土交通省のガイドラインからの抜粋です。

◯上下水道に関する施設の建設工事における『土木一式工事』、『管工事』及び『水道施設工事』間の区分の考え方は、公道下等の下水道の配管工事及び下水処理場自体の敷地造成工事が『土木一式工事』であり、家屋その他の施設の敷地内の配管工事及び上水道等の配水小管を設置する工事が『管工事』であり、上水道等の取水、浄水、配水等の施設及び下水処理場内の処理設備を築造、設置する工事が『水道施設工事』である。なお、農業用水道、かんがい用配水施設等の建設工事は『水道施設工事』ではなく『土木一式工事』に該当する。

◯し尿処理に関する施設の建設工事における『管工事』、『水道施設工事』及び『清掃施設工事』間の区分の考え方は、規模の大小を問わず浄化槽(合併処理槽を含む。)によりし尿を処理する施設の建設工事が『管工事』に該当し、公共団体が設置するもので下水道により収集された汚水を処理する施設の建設工事が『水道施設工事』に該当し、公共団体が設置するもので汲取方式により収集されたし尿を処理する施設の建設工事が『清掃施設工事』に該当する。

 

紛らわしい業種に、管工事と土木一式工事が挙げられます。

上水道等の取水、浄水、配水等の施設および下水処理場内の処理設備を築造、設置する場合はこの水道施設工事となります。

一般の家屋やビルなどの建物施設の敷地内の上下水道の配管工事がよくこの水道施設工事と間違えられることがあるのですが、実際は管工事となります。

また、そういった家屋や建物の敷地外の公道下の下水道の配管工事や下水処理場自体の敷地の造成工事は土木一式工事に該当します。

なお、農業用水道、かんがい用配水施設等の建設工事も水道施設工事ではなく土木一式工事に該当します。

 

水道施設工事の専任技術者になるには

 

1.資格者

ピンク色は、資格のみで特定建設業の専任技術者になれる資格です

◯一級土木施工管理技士

◯二級土木施工管理技士(土木)

◯技術士:上下水道・総合技術監理「上下水道」

◯技術士:上下水道「上水道及び工業用水道」・総合技術監理「上下水道-上水道及び工業用水道」

◯技術士:衛生工学「水質管理」・総合技術監理「衛生工学-水質管理」

◯技術士:衛生工学「廃棄物管理」・総合技術監理「衛生工学-廃棄物管理」

 

2.土木工学、建築学、機械工学、都市工学又は衛生工学に関する学科を卒業している水道施設工事の実務経験者

◯大学卒業で水道施設工事の実務経験3年以上

◯高度専門士又は専門士(専門学校卒業)で水道施設工事の実務経験が3年以上

◯高校卒業で水道施設工事の実務経験5年以上

◯専門学校(専修学校専門課程)卒業で水道施設工事の実務経験が5年以上

 

3.水道施設工事の実務経験が10年以上の者
◯水道施設工事について技術上の実務経験が通算で10年以上ある(資格・学歴は不要です)

 

※特定の専任技術者になるには、1の特定の専任技術者になれる資格を持っている or 1.2.3のいずれかに該当し、かつ元請として4,500万円以上の工事について2年以上指導監督的な実務経験のいずれかが必要になります。

 

 

消防施設工事業

 

消防施設工事とは、火災警報設備、消火設備、避難設備もしくは消火活動に必要な設備を設置し、または工作物に取り付ける工事のことです。

 

工事の例示

 

屋内消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事、水噴霧、泡、不燃性ガス、蒸発性液体又は粉末による消火設備工事、屋外消火栓設置工事、動力消防ポンプ設置工事、火災報知設備工事、漏電火災警報器設置工事、非常警報設備工事、金属製避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋又は排煙設備の設置工事等

 

要するに消防関係設備の工事が該当します。

上記の中で、まぎらわしいのが金属製避難はしごですが、これは火災時等にのみ使用する組立て式のはしごであり、ビルの外壁に固定された避難階段等はこれに該当しません。

ちなみに、この固定された避難階段については、建築物の一部として新築時に設置するのであれば建築一式工事、既存の建物に後から追加設置するのであれば鋼構造物工事に該当します。

 

他の工事との境界線

 

国土交通省のガイドラインからの抜粋です。

◯「金属製避難はしご」とは、火災時等にのみ使用する組立式のはしごであり、ビルの外壁に固定された避難階段等はこれに該当しない。したがって、このような固定された避難階段を設置する工事は『消防施設工事』ではなく、建築物の躯体の一部の工事として『建築一式工事』又は『鋼構造物工事』に該当する。

◯『機械器具設置工事』には広くすべての機械器具類の設置に関する工事が含まれるため、機械器具の種類によっては『電気工事』、『管工事』、『電気通信工事』、『消防施設工事』等と重複するものもあるが、これらについては原則として『電気工事』等それぞれの専門の工事の方に区分するものとし、これらいずれにも該当しない機械器具あるいは複合的な機械器具の設置が『機械器具設置工事』に該当する。

 

 

消防施設工事業の専任技術者になるには

 

1.資格者

◯甲種消防設備士

◯乙種消防設備士
(消防法上、乙種は点検・整備のみで工事はできない資格ですが、建設業許可の専任技術者になることは可能です)

 

消防法の規定により、消防設備士の資格を持たない者は、工事どころか点検・整備すら行うことが認められないため、資格者しか実務経験を積むことができず、実質的に消防施設工事業の専任技術者になることができるのは資格者のみとなります。

※特定の専任技術者には資格のみでなることは出来ず、上記の資格者であり、かつ元請として4,500万円以上の工事について2年以上指導監督的な実務経験が必要になります。

特定許可を資格のみで取得できず、指導監督的実務経験が必須になっているからか、大手ゼネコンであっても消防施設工事業の許可は一般許可である場合が多く見受けられます。

 

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