建設業許可とは?制度の概要や取得するメリットについて解説!
2020年11月17日500万円以上の工事を請け負う時に必要になってくる建設業許可。
最近は請負金額に関係なく、元請業者さんから建設業許可を取得して欲しいと言われているというお話もよく聞きます。
本記事では、そもそも建設業許可とは何か、取得するには何が必要なのか、許可申請の流れや、建設業許可を取るメリット・デメリットなどを解説していきたいと思います。
建設業許可とは? |
建設業を営むにあたっては、「建設業法」という法律を守らなければなりません。この建設業法では、「建設工事の適正な施工を確保すること」や「発注者を保護」が目的として定められています(1条)。この目的を達成するための手段として、一定の要件を満たした建設業者にのみ建設業を営む許可を与えることにしています。
この建設業許可は、個人・法人、元請・下請、公共工事・民間工事に関係なく、税込500万円以上の工事を請け負うには、建設業許可が必要になります。つまり建設業許可を持っていない建設業者は、税込500万円以上の工事を請け負うことはできません。
建設業許可が不要な工事 |
建設業許可がいらない工事(軽微な工事) | |
建築一式工事 | 税込1,500万円未満の請負金額、または金額に関わらず木造住宅工事で延床面積が150平米未満の工事 |
建築一式工事工事以外の工事 | 税込500万円未満の工事 |
建築一式工事とは…家を丸ごと一軒、ビルを一棟建てる工事や、大規模な増改築工事をする業種です。
例えば、新築工事では、大工工事、内装工事、管工事、電気工事など様々な専門工事が組み合わさっています。施主さんから元請として工事を請け負い、これらの専門工事の業者を束ねるような業者さんは建築一式工事の許可を受けていなければならないとされています。
どこまで「工事の請負金額」に含まれるのか? 請負金額には、工事に必要になる材料費も含みます。注文者が材料を用意した場合には、提供された材料の価格を請負金額に含めて判断することになります。材料の価格は市場価格で、材料の運搬費がかかった場合はその運搬費も含めることになります。 |
建設業許可の種類 |
建設業許可は、「国土交通大臣許可(大臣許可)と都道府県知事許可(知事許可)」、「特定建設業許可と一般建設業許可」の区分があります。
営業所の数や元請か下請か、請負金額などによって受ける許可が違ってきます。
大臣許可と知事許可 |
大臣許可と知事許可の違いとは何でしょうか?
これは営業所をどこに設置するかの違いです。
大臣許可 → 2つ以上の都道府県に営業所がある場合 知事許可 → 営業所が1つの都道府県にある場合 |
例えば、大阪に本社があり、他に東京や福岡など、県をまたいで営業所がある場合は大臣許可になります。
逆に営業所が、一つの都道府県のみの場合は、その営業所がある都道府県の知事許可になります。
(営業所が2つ以上の都道府県にある場合でも、許可を取りたい、もしくは取れる条件が揃っている営業所が1つの都道府県だけであれば知事許可になります。)
※ここでいう「営業所」とは、本店、支店、常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいい、単なる登記上の本店、事務連絡所、工事事務所、作業所などはこの「営業所」に該当しません。
ポイント 知事許可業者でも、県外で建設工事を行うことはできます。 例えば、大阪で知事許可を取った場合でも、北海道でも沖縄でも建設工事を行うことはできます。ただし、工事の請負契約は「営業所」でしか行うことができませんので、もし大阪で知事許可を取ったならば、知事許可を取った大阪の営業所で、請負契約を締結しなければなりません。 ちなみに、大臣許可といっても東京にある国土交通省の本省まで行って申請するわけではなく、本店がある地域を管轄する地方整備局(北海道は北海道開発局、沖縄は沖縄総合事務所)が申請窓口になります。 |
一般建設業許可と特定建設業許可 |
これは元請かどうか、そして元請の場合、下請に出す金額によって変わります。
一般建設業許可
➀自分が下請の場合、②元請でも下請に出さずに全部自社で施工する場合、③元請として下請に出す金額の合計が税込で4500万円(建築一式工事の場合は7000万円)未満の場合、一般建設業許可を取得しておけばOKです。 言い換えると、下に書いた特定許可が必要なければ一般許可でよいということになります。 |
特定建設業許可
発注者(いわゆる施主さん)から直接請け負った1件の工事について、下請に出す金額(下請が2つ以上ある場合はその合計)が税込で4500万円(建築一式工事の場合は7000万円)以上となるときに必要な許可です。 元請業者さんのための許可です。 |
特定建設業許可の「発注者から直接」とは、元請の立場となる場合を表しています。そのため、例えば一次下請の立場で二次下請に出す金額が4,000万円以上となる場合でも、一般建設業許可を取得していれば大丈夫です。
下請契約の4,000万円(建築一式工事の場合6,000万円)は、請負一社あたりの金額ではなく、1つの工事で出した下請契約の合計金額が税込4,000万円以上になる場合に該当します。
つまり、A社B社といくら小分けにして下請契約しても、下請に出した合計金額が税込4,000万円以上になれば、特定建設業の許可が必要です。(建築一式工事の場合は税込6,000万円以上)
ポイント ・特定建設業許可が必要なのは元請業者のみです。 ・一般建設業許可の場合は、下請に出す時の額に4500万円(建築一式工事の場合7000万円)未満という制限がありますが、元請として受注する金額に制限はありません。受注した工事のほとんどを自社施工して、下請契約の額を4500万円(建築一式工事の場合7000万円)未満とすれば、一般建設業許可でも大きい金額の工事を受注することができます。 ・同一の建設業者が、ある業種については特定建設業の許可を、他の業種については一般建設業の許可を受けることはできますが、同一業種については、特定・一般の両方の許可を受けることはできません。 |
建設業許可の期限 |
建設業許可の期限は、許可のあった日から5年目の対応する日の前日をもって満了します。
例えば、令和2年11月17日付で許可があった場合、令和7年11月16日が許可満了日となります。
引き続き建設業を営もうとする場合は、許可の有効期間満了日の30日前までに、許可更新手続きをしなければなりません。
更新手続きの注意 有効期限の末日が土曜日・日曜日・祝日など行政庁の休日であっても、次の平日まで許可は延長されることはありません。 なお許可の更新手続きをしていれば、有効期間満了後であっても、許可または不許可の処分が下るまでは、前の許可が有効です。 更新を忘れ有効期限が1日でも過ぎると、許可は取り消しになり、また新規取得をしなければなりません。期限切れに対する救済措置は一切ありませんので、許可の期限管理はしっかり行う必要があります。 |
建設業許可の29業種 |
建設業許可は業種ごとに取得しなけばなりません。その業種は以下の29業種に分かれています。
それぞれの詳しい説明は、業種名をクリックしてください。
業種 | 内容 | |
1 | 土木工事業 | 道路、橋梁やダム、下水道(農業集落排水工事を含む)などを一式として請け負うもの。 |
2 | 建築工事業 | 住宅建設等を一式工事として請け負うもの。建築確認を必要とする新増築工事。 |
3 | 大工工事業 | 大工工事、型枠工事、造作工事 |
4 | 左官工事業 | 左官工事、モルタル工事、モルタル防水工事、吹き付け工事、とぎ出し工事、洗い出し工事 |
5 | とび・土木工事業 | とび工事、機器・重量物の運搬配置工事、鉄骨組み立て工事、掘削工事、くい打ち工事、コンクリート打設工事 |
6 | 石工工事業 | 石積み(張り) 工事、コンクリートブロック積み(張り)工事 |
7 | 屋根工事業 | 屋根ふき工事 |
8 | 電気工事業 | 発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、構内電気設備工事、照明設備工事 |
9 | 管工事業 | 冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事、ガス配管工事、給排水工事、厨房設備工事 |
10 | タイル・れんが・ブロック工事業 | コンクリートブロック積み張り工事、レンガ積み張り工事、タイル張り工事、築炉工事 |
11 | 鋼構造物工事業 | 鉄筋工事、橋梁工事、鉄塔工事、屋外広告工事 |
12 | 鉄筋工事業 | 鉄筋加工組み立て工事、鉄筋継手工事 |
13 | 舗装工事業 | アスファルト舗装工事、コンクリート舗装工事 |
14 | しゅんせつ工事業 | 河川、港湾等の水底をしゅんせつする工事 |
15 | 板金工事業 | 板金加工取付工事、建築板金工事 |
16 | ガラス工事業 | ガラス加工取付工事、ガラスフィルム工事 |
17 | 塗装工事業 | 塗装工事、溶射工事、ライニング工事、布張り仕上工事、鋼構造物塗装工事、路面標示工事 |
18 | 防水工事業 | アスファルト防水工事、モルタル防水工事、シーリング工事、塗膜防水工事、シート防水工事 |
19 | 内装仕上工事業 | インテリア工事、天井仕上工事、壁張工事、内装間仕切工事、床仕上工事、たたみ工事、ふすま工事 |
20 | 機械機器設置工事業 | プラント設備工事、運搬機器設置工事、内燃力発電設備工事、集塵機器設置工事、給排気機器設置工事 |
21 | 熱絶縁工事業 | 冷暖房設備、冷凍冷蔵設備、動力設備又は燃料工業、化学工業等の設備の熱絶縁工事 |
22 | 電気通信工事業 | 電気通信線路設備工事、電気通信機械設置工事、放送機械設置工事、データー通信設置工事 |
23 | 造園工事業 | 植栽工事、地被工事、景石工事、公園設置工事、広場工事、園路工事、水景工事、屋上等緑地化工事 |
24 | さく井工事業 | さく井工事、温泉掘削工事、井戸構築工事 |
25 | 建具工事業 | 金属製建具取付工事、サッシ取付工事、木製建具取付工事、シャッター取付工事、自動ドア取付工事 |
26 | 水道施設工事業 | 取付施設工事、浄水施設工事、配水施設工事、下水処理設置工事 |
27 | 消防施設工事業 | 屋内消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事 |
28 | 清掃施設工事業 | ごみ処理施設工事、し尿処理施設工事 |
29 | 解体工事業 | 工作物解体工事 |
ポイント 土木一式工事および建築一式工事の2つの「一式工事」は、他の27の「専門工事」と異なり、総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物または建築物を建設する工事です。 具体的には、土木工作物(橋梁、ダム等)や建築物(住宅、ビル等)を丸ごと作るような工事が該当します。 「一式工事」と「専門工事」は別の許可業種であり、一式工事が専門工事を包含しているわけではありません。土木一式工事(土木工事業)や建築一式工事(建築工事業)の許可を持っている場合でも各種専門工事を単独で請け負うためには、その専門工事に対応した業種の許可が必要となります。 例えば、専門工事である内装仕上工事で500万円以上の工事を請け負う場合は、建築一式工事(建築工事業)の許可を持っていたとしても、別途内装仕上工事業の許可が必要となります。 |
建設業許可が不要でも他の登録が必要な場合がある |
以下一例を挙げておきます。建設業の許可の必要がない工事でも、他の法律により登録が必要な工事があります。
・電気工事業を営む場合は、請負金額に関わらず「電気工事業者登録」が必要です。
こちらに詳しく載せておりますので、ご一読ください。
建設業許可を取得しないで500万円以上の工事を請け負うとどうなる? |
許可なしで500万円以上の工事を請け負った場合
建設業許可が無い状態で軽微な建設工事を超える500万円以上の請負契約を締結すると無許可業者として建設業法違反となります。無許可業者に対しては、行為者に「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」、法人に「1億円以下の罰金」と重い罰則が用意されています(第47条1項1号、53条1号)。
元請業者にも影響が!
許可を持っていない下請業者が500万円以上の工事を請け負った場合、その業者に罰則が科せられるのはもちろんのこと、その無許可業者に下請に出した元請業者にも罰則が科せられます。元請業者には、仕事を下請に出す場合、その下請業者が建設業許可を持っているかどうかを確認する義務がありますが、これを怠ったとして7日以上の営業停止処分になってしまいます(28条以下、建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準)。
またこの逆も然りで、無許可の元請業者から工事を請け負った場合、その元請業者はもちろん下請業者も罰則が科せられます。
建設業許可を取得するメリット |
建設業許可を持っていれば500万円以上の工事を受注できるだけでなく、色々なメリットがあります。
業界内外での信用度が高まり、業務獲得の機会が増える |
建設業許可を取得するには、上で挙げたようなそれなりに厳しい要件をクリアしなければならず、誰でも取得できるわけではありません。
建設業許可を取得しているということは、建設業を健全に経営しており、技術力と資金力があるということです。大手ゼネコンの現場に許可業者しか入れないのも、建設業許可の信用力の現れです。建設業許可があれば、社会的信用度が高まり、新たなビジネスのチャンスにつながる可能性が出てきます。
また、許可を取得すると500万円の制限を受けることなく工事を請け負うことができるので、元請さんとしても金額の制限を考えずに仕事をお願いできるようになります。
公共工事の入札に参加できる |
建設業許可を取得すれば、公共工事の入札に参加できるようになります。
公共工事の入札参加資格を得る手続きの流れは
建設業許可取得
↓
決算変更届・経営事項審査
↓
入札参加資格申請
↓
公共工事の入札参加可能
となります。入札参加資格を取得するには、建設業許可を持っていることが前提になります。公共工事は、一定の仕事量があり、安定した売り上げを上げることができ、また公共工事の実績があれば、取引先からの信用にもつながります。
まとめ |
以上、建設業許可取得制度について概観しました。
詳細な要件については別の記事で解説していますので、そちらもご一読ください。