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主任技術者と監理技術者 ②【専任義務とその例外】

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主任技術者と監理技術者 ②【専任義務とその例外】

2023年01月24日
主任技術者と監理技術者 ②【専任義務とその例外】

主任技術者・監理技術者は、工事現場に常駐することは求められていません。

しかし、一定の条件を満たす工事の場合、主任・監理技術者はその現場に専任する必要があります。

今回はこの「専任」とはどういう意味なのか、どういう条件の時に専任する必要があるのか、例外はあるのかについて見ていきます。

 

主任技術者・監理技術者の専任義務

 

主任技術者・監理技術者は、以下の両方の条件を満たす工事では、その現場に専任する必要があります。

 

➀「公共性のある施設もしくは工作物」または「多数の者が利用する施設もしくは工作物」に関する重要な建設工事

②工事1件の請負金額が4000万円以上(建築一式工事の場合は8000万円以上)

 

①の要件は、公共工事に限らず民間工事も含まれるため、実務上は個人住宅を除くほとんどの工事が①の要件に該当することになります。

 

この「専任」とは、「現場が動いている時間はずっと現場にいなければならない」ということではなく、「他の現場と掛け持ちせず、継続的にその現場に関する職務のみ行う」ということです。

そのため、現場の体制が整っていて、上位の者(元請なら発注者、下請なら元請や上位の下請)の了解を得ていれば、研修、資格試験、休暇の取得等の合理的な理由で一時的に現場を離れることは問題ありません。

 

例外はあるのか

 

主任技術者・監理技術者は上記の「専任が求められる工事」においては、その工事現場に「専任」せねばならず、他の現場との掛け持ちは原則的にできません。

しかし、一定の要件を満たした場合、主任・監理技術者の現場専任義務が緩和されます。

 

監理技術者の専任義務の例外

 

監理技術者は、下請負人を適切に指導、監督するという総合的な役割を担っているため、原則的に他の現場と掛け持ちすることはできません。

しかし、以下の条件を満たせば、専任の監理技術者でも兼務が認められます。

 

同一、あるいは別々の発注者が発注する工事で次の➀➁のいずれも満たす場合は、全体の工事を当該建設業者が設置する同一の監理技術者が掌握し、技術上の管理を行うことが合理的であると考えられることから、これらの複数の工事を一つの工事とみなして、同一の監理技術者が兼務することができます。

➀契約工期の重複する複数の請負契約に係る工事であること

➁それぞれの工事の対象となる工作物等に一体性が認められること

この取り扱いは、当初の請負契約以外の請負契約が随意契約により締結される場合に限られます。

 

つまり、「1人の監理技術者が両方を見た方が合理的なときに限って兼務を認めるよ」ってことですね。

 

 

主任技術者の専任義務の例外

 

主任技術者の場合、監理技術者が兼任できる場合(①)に加えて、②の場合にも専任義務が緩和されます。

 

➀同一、あるいは別々の発注者が発注する工事で次の2つの要件をいずれも満たす場合

(※監理技術者の場合と同じ)

全体の工事を当該建設業者が設置する同一の監理技術者が掌握し、技術上の管理を行うことが合理的であると考えられることから、これらの複数の工事を一つの工事とみなして、同一の監理技術者が兼務することができます。

・契約工期の重複する複数の請負契約に係る工事であること

・それぞれの工事の対象となる工作物等に一体性が認められること

この取り扱いは、当初の請負契約以外の請負契約が随意契約により締結される場合に限られます。

 

②密接な関係のある2つ以上の建設工事を同一の建設業者が同一の場所又は近接した場所において施工する場合

密接な関係のある2以上の建設工事を同一の建設業者が同一の場所又は近接した場所において施工する場合は、同一の専任の主任技術者がこれらの建設工事を兼務することができます。この場合、主任技術者が管理することができる工事の数は、原則2件程度とされています。

・2つの現場の資材を一括で調達し、相互に工程調整を要するもの

・工事の相当の部分を同一の下請業者で施工し、相互に工程調整を要するもの

「近接した場所」とは、工事現場の相互の間隔が10km程度以内とされています。

 

 

注意が必要なのは➀の場合で、これは複数の工事を1つの工事とみなしたことになります。そのため、その複数の工事の下請金額の合計が4500万円(建築一式では7000万円)以上になる場合、特定建設業許可や監理技術者の配置が必要になります。

 

2つの工事を同じ監理技術者が兼任できる場合

 

前述のように、一定の要件・規模の建設工事では、監理技術者は1つの現場に専任することが必要です。

しかし、例外として各現場に専任の監理技術者を補佐する者を置くことで、1人の監理技術者が2つの現場を兼任できます。

このとき、その2つの現場を兼任する技術者のことを特例監理技術者といい、各現場で補佐する者を監理技術者補佐といいます。

特例監理技術者は監理技術者補佐を指導することが必要であり、監理技術者補佐はその指導を受けながら補佐としての職務を実施します。

監理技術者補佐になれるのは、業種に応じた1級技士補監理技術者要件を満たす者です。

技士補という言葉が聞き慣れない方もいらっしゃるかもしれませんが、これは令和3年度からの技術検定(いわゆる「施工管理技士」の試験)で新設された称号で、各検定の第1次検定に合格した者に与えられる称号です。(例:1級建築施工管理技士の第1次検定に合格すると、1級建築施工管理技士の称号が与えられる)

 

なお、特例監理技術者が兼任できる現場は2つまでで、主要な会議への参加、工事現場の巡回、主要な工程の立会いなど、元請としての職務が適切に遂行できる場合とされています。

兼任できるとはいえあくまでも監理技術者なので、補佐に仕事を任せて自分は別の現場の仕事をしていたり、片方の現場にかかりっきりになってもう片方の現場の状況は全く把握していないようなことはダメということですね。

▼特例監理技術者のイメージ▼

監理技術者の専任の緩和

出典:国土交通省「新・担い手三法について~建設業法、入契法、品確法の一体的改正について~

 

まとめ

 

今回は主任・監理技術者の専任義務について見てきました。

重要な工事では原則専任とされているものの、昨今の現場の人手不足に対応してか様々な例外措置が取られています。

貴重な人材を有効活用するためにも、専任要件や例外をしっかり確認しておきましょう。

次回は特例で主任技術者の配置が不要な場合について見ていきます。

次回:主任技術者と監理技術者③【特定専門工事】

 

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