行政書士船場事務所

0662240886
営業時間9:00- 18:00 土日祝休み

施工体制台帳 ②【記載内容と添付書類】

column

施工体制台帳 ②【記載内容と添付書類】

2023年03月15日
施工体制台帳 ②【記載内容と添付書類】

前回から施工体制台帳について解説しています。

今回は、具体的な作成方法、記載内容や添付書類について解説していきます。

※記事内では、施工体制台帳と施工体系図をあわせて「施工体制台帳等」と呼称します。

 

関係者への周知義務

 

施工体制台帳を作成する前に、まず行うことがあります。

それは、「施工体制台帳作成対象工事となったことを関係者(下請業者)へ周知すること」です。

第3回で解説しますが、対象工事においては一次下請業者から再下請負に出された場合、再下請負通知書を当該再下請負先から提出してもらう必要があります。

このため、あらかじめ「作成対象工事である旨」を下請業者に通知しておく必要があるのです。

 

具体的には、下請契約を締結した全ての下請業者に対して「再下請負を行う場合は元請に再下請負通知を行わなければならない」ということを書面で通知するとともに、現場内の見やすい場所に「再下請負通知書の提出案内」を掲示する必要があります。

 

▼現場への書面通知例

 

現場への掲示文例

 

▼現場での掲示例

 

下請業者への書面通知例

 

出典:関東地方整備局「建設工事の適正な施工を確保するための建設業法

 

施工体制台帳

 

記載内容

 

施工体制台帳の記載事項は省令で定められており、かなり細かく記載する必要があります。

以下で一覧を見ていきます。

 

▼施工体制台帳の記載内容▼

元請負人に関する事項

・発注者から請け負った工事内容

・建設業許可の内容 ※すべての許可業種

・社会保険の加入状況

・配置技術者の氏名、資格内容

・外国人技能実習生、外国人建設就労者及び1号特定技能の従事状況

・建設工事従事者に関する事項

一次下請負人に関する事項

・下請契約した工事の内容

・建設業許可の内容 ※請け負った工事に関する許可業種

・社会保険の加入状況

・配置技術者の氏名、資格内容

・外国人技能実習生、外国人建設就労者及び1号特定技能の従事状況

・建設工事従事者に関する事項

※近畿地方整備局「建設業法に基づく適正な施工体制と配置技術者」を基に作成

 

添付する資料

 

施工体制台帳は、本体を作成する以外にもいくつかの資料を添付する必要があります。

台帳本体と添付書類がセットで揃っていなければ適正に整備したことになりません。

 

▼施工体制台帳に添付すべき書類▼

◯発注者との契約書の写し

◯下請業者との間で締結した契約書の写し

(「注文書・請書」+「基本契約書又は約款等」の写し)

◯主任技術者・監理技術者が資格を有することを証する書面

(特に、監理技術者が現場専任を要する工事のときは、監理技術者資格者証の写し)

◯専門技術者等を置いた場合は、その者の資格を証明できるものの写し

(資格の合格証明書等)

◯主任技術者・監理技術者の雇用関係を証明できるものの写し

(健康保険証等の写し)

◯監理技術者講習修了証の写し ※義務ではないが、添付することが望ましい

※近畿地方整備局「建設業法に基づく適正な施工体制と配置技術者」を基に作成

 

施工体系図の記載内容

 

施工体系図の記載内容は以下の通りです。

 

▼施工体制台帳の記載内容▼

元請負人に関する事項

・発注者から請け負った工事内容

・配置技術者の氏名

一次下請負人に関する事項

・下請契約した工事の内容

・建設業許可の内容

・配置技術者の氏名、資格内容

※近畿地方整備局「建設業法に基づく適正な施工体制と配置技術者」を基に作成

 

施工体制台帳等にはどの業者まで記載する?

 

大きい工事現場になると、三次、四次…と多くの下請さんが入ることもあるかと思います。

また、建設工事には、実際に工事を行う施工業者以外にも資材業者や警備業者、資材や廃棄物の運搬業者、測量業者など、様々な業者が関わることになります。

このような場合、施工体制台帳等にはどこまで記載すればよいのでしょうか。

 

施工業者は全て記載する

 

タイトルの通り、施工に関わる業者であれば、二次、三次、四次…と全て記載することになります。

また、下請業者が無許可業者である場合でも、工事の請負契約をしていれば記載します。

 

なお、二次以下の下請業者がいる場合には、一次下請に提出された再下請負通知書を施工体制台帳と一緒に保管することになります。

※再下請負通知書については第3回をご覧ください。

 

施工業者以外は原則記載しなくてよい

 

施工体制台帳に記載すべきなのは施工に関する請負契約を結んだ施工業者だけです。

警備業者や資材業者等、施工に関わらない業者は記載する必要はありません。

 

ただし、発注者によっては施工に関わらない業者でも記載を求めている場合があり、その際には記載が必要です。

契約書や仕様書等で必要な記載内容を確認しましょう。

 

どのような様式を使えばよいのか?

 

実は、施工体制台帳等について法令で定められた様式はありません。

「じゃあどうやって書けばいいの…」という方のために、国土交通省や(一社)全国建設業協会が様式や記載例を公開しています。

これらの様式を記載例を参考に各項目を埋めていけば施工体制台帳等が完成するので非常に便利です。

 

特に全国建設業協会の様式は「全建統一様式」と呼ばれ、現場で使われる頻度も高いです。

施工体制台帳等の作成に迷ったら「全建統一様式」を使用しましょう。

 

国土交通省「建設産業・不動産業:施工体制台帳、施工体系図等

建設グリーンファイル.com「【全建統一様式】安全書類の記入例とダウンロード

建設グリーンファイル.com「全建統一様式第4号 工事作業所災害防止協議会兼施工体系図 ダウンロード

 

まとめ

 

今回は施工体制台帳等の記載内容について見てきました。

記載事項や添付書類が多くややこしいですが、公開されている書式を埋めていけば作成することができます。

施工とは直接関係がありませんが、現場全体を把握するための重要な書類になりますので、必ず作成するようにしましょう。

次回は下請業者に関する部分について見ていきます。

 

施工体制台帳 ➀【概要】

施工体制台帳 ②【記載内容と添付書類】 ←閲覧中

施工体制台帳 ③【下請業者が作成する書類】

施工体制台帳 ④【作成後の取り扱い】

行政書士船場事務所